費用計上基準について
Q 当社は進出したばかりの製造業ですが、ライン立ち上げの際の費用、具体的には親会社から派遣される技術者の渡航・宿泊費および日当の計上には条件や制限はありますか?

A マネージメントや営業関連の親会社からの出張者費用は原則認められておりませんが、工場のライン立ち上げの場合は、技術者派遣の必要性が認知されておりますので、予めプロジェクト名、期間を記載した契約書を作成し、その契約書に沿った計上・支払は問題ありません。支払の際の源泉徴収15%は必ず行ってください。
 源泉徴収分は納税後管轄税務署に対し、英文証明書を申請すれば1.5か月ほどで発行され、これを日本側で外国税控除に使用できます。

税務上の規定について
Q タイの付加価値税VATは基本国内取引で発生する税金だと認識しておりますが、海外との取引に対しても税が発生する例があるのでしょうか?

A 海外との取引に際してもVAT申告は発生します。現実には海外取引に関わりVAT申告が義務となる例は結構あるのです。
 先ず、一般的に無税と認識される物品の輸出においても、概念上VATは存在しますが、0%なのです。従って税額はゼロですが、この売上額は月々の申告書上、加算されます。逆に国内取引であってもVATの発生しない取引があり、これは日本で話題になっている軽減税率に当たるもので、対象は生鮮食料品・書籍の販売、教育や医療にかかわる費用等が対象となります。
 また、タイ国内で提供され、その成果が海外で使用されるサービスの対価を海外の企業に請求しますと、金銭の受領期日にVATが発生します。例えば輸出品に関わる検品や品質管理のサービスが典型的な例です。但しこの場合、請求インボイスにVATを明記しますと、取引先国においては外国税に対する支払いを起こせない為、VATを含んだ金額を請求し、回収時にTax Invoice/Receiptを発行し、売上VAT申告に加算します。請求先が日本であれば、送金の証明を領収証代わりに使用できるので問題ありませんが、相手国によっては実務上の問題が生ずる可能性もあります。
 さらに、海外に対するサービス料の支払いに際してもVATが発生します。その根拠として、規定では取引先がタイ国のVAT登録業者で無いため、となっていますが、この場合逆に支払う側がVATを領収側に代わって納税し、同時に還付額に加算するという特異なものです。規定で除外された取引以外のケースにおいてはすべてVATが発生するという制度のための制度なのだと考えます。