設備の減価償却期間について
Q 弊社では従来、会計監査人の判断で設備の減価償却期間を10年としてきたのですが、つい最近導入した輸入設備については、行程は同様ながら更に高速で大量生産に対応する機種であり、したがって耐用年数も短くなります。できれば5年程度の償却としたいのですが、問題があるでしょうか?

A 当地では、減価償却期間の短期化については管轄税務署の許認可事項となっており、申請する際には、根拠となる仕様書および機械工学士(有資格者)の認証が必要です。ご質問のケースでは新規導入設備ということですが、現状使用されている設備と同一工程での使用設備であり、また高額の設備であればあるほど、短期償却による法人税額への影響も大きくなりますので、先ずは許可を得るのが得策かと思います。しかしながら、日本製の設備であればこの様な制度はありませんので、先ずはメーカーから英文の仕様書を入手し、認証というものが日本の技術士さんから得られるものかどうか疑問でした。
そこで弊社にて日本のパートナー税理士を通し技術士さん本人に問い合わせてみましたが、その回答は「対応はできるが認証の制度はないので、意見書という形で良いか。機械にについての資料とクライアントさんからの耐用年数5年とする理由書をお預かりし、この様なご依頼は初めてなので、ある程度納期に余裕をいただいた上でお願いしたい」ということでした。また税務署に対する申請から回答までには最低2か月はかかりますので、時間的・金銭的リスクを十分考慮すべきかと思います。

税務上の規定について
Qタイの税務上、中間申告という義務があると聞きました。これはどの様な制度でしょうか?

A タイ語ではこの手続きで使用する申告フォームの呼び名「P.N.D.51」と呼びます。この⒊文字のアルファベットは所得税の意味で、同様に確定申告を「P.N.D.50」と呼び、その他所得税に関わる、例えば源泉徴収税、個人所得税に関係するあらゆる申告書はP.N.D.+数字で呼ばれます。

さて中間申告、私は予定納税と言っていますが、この際日本語呼称は決まっておりませんのでどうでも良いです。ここで行うことは、会計年度の上期損益実績が確定した時点で、下期損益を予測し、予測の結果法人所得税納税分があれば、その半額を会計年度8か月目の末日までに申告納税します。納税分が無くとも申告は必要です。ここで面倒なシステムが一点あり、確定申告の段階で、通期損益実績が予測した数値より25%以上上回ると、その超過分に対し20%の罰則金および、予定納税申告時から確定申告時点までの延滞金が発生します。つまり予定納税で利益を大きめに、納税を多めにしておく方が安全ですよ、ということになります。税務署が、早目に法人税の一部を徴収したいというのがこの制度の目的ですから、よくできているシステムだと言えます。

ただし、この罰則金・延滞金には免除条件もあり、もし前会計年度で予定納税時に申告した利益よりも大きな額で申告すれば超過分に対する罰則・延滞金は課されません。
実際の算出には、前払源泉徴収税(タイでは多岐にわたる源泉徴収があって、金額が大きい)、前期末繰越欠損金の有無など、考慮すべき数値がいろいろあるので、慎重に行う必要があります。ただし投資委員会の免税を受けていたり、また繰越欠損が大きくて納税分は間違いなく発生しないというケースでは、単に予測できる数値を申告すれば、何もリスクはありません。