1 日本での購入物について
Q あまり大きくも無い日本での購入物をタイ法人で使用する場合、ハンド・キャリーでは問題があると聞くのですが、実際はどの様に持ち込めば良いのでしょうか?
A 過去の例では、ハンド・キャリーで持参した物について、到着時に空港の税関で申告したにも関わらず、後の税関による調査において、「これは正式な通関ではないので密輸と見做す」と指摘され、高額の罰則金を課された例が結構ありました。密輸と見做されますと、最高で関税の8倍+付加価値税の8倍まで課される可能性があります。これを避けるには、少なくとも国際宅配便で送付し、必ず通関証明を入手する必要があります。金額的に親会社側で負担できるものであれば、当地では計上せず「タダで持ち込んで使用しているだけ」ということにすれば問題ありません。ノートパソコンなど簡単に持ち込めますが、これも過去に大きな罰則金を課された例がありますので気を付けましょう。

1 税務上の規定について
Q タイに於ける印紙税の規定についてご教示ください。
A通常の会社取引に関連するものとしては、下記に当たる契約書および同意書に印紙を添付する ことになっています。
  請負契約 0.1%
  金銭消費貸借 0.1%
  不動産賃貸契約 0.05%

この他証券や手形等が対象になりますが、これらはあまり関連が無いかと思います。本来契約書・同意書を発行しなければ貼付する義務はありませんし、習慣上、官公庁に提出する書面以外についてはお互いに気にもしない、という存在でした。ところがつい最近、驚くような事例が発生しました。一般税務調査を受けたあるIT企業が、サービス・メンテナンスによる売上高およびカスタマイズしたソフトウェア販売による売上高全体に対して印紙税に加え罰則金600%の支払いを求められたのです。確かにカスタマイズしたソフトウェアについては大量生産品と区別し、所謂受注生産品と見做しサービスの対価と同様に源泉徴収の対象として扱っていますが、これを以てすべての取引を上記「請負契約」に当てはまると強弁し、契約書を発行する必要も無い取引高全額に摘要しようとは、あまりの暴論です。当地では時に、ノルマ達成に焦った税務官が無茶な要求をしてくることはありますが、とても説明のつかない屁理屈に呆れながら、根拠が希薄過ぎてクライアント様の理解を得られないと交渉を重ね、最終的にゼロで無いながらも当初提示額の15分の1程度の追徴額を受け入れました。これが一税務官の暴走で終わることを祈っています。