会計税務の質問と回答

ここでは、私どもが実際に相談を受けた質問とそれに対する回答を紹介していきます。

1 費用負担または損金扱いの範囲について
Q 接待費計上にはどの様な制約があるのでしょうか?
A 当地では、損金扱いできる接待交際費の上限が、年間総売上あるいは資本金の0.3%までと定められています。この限度額を超えて計上することはできますが、確定申告の際に超過分を益金算入し、法人所得税の課税対象にします。
Q 販売代理店営業マンに対するインセンティブの制度を考えています。現金のコミッション、あるいはデパートの商品券を渡す場合について、費用計上可能か、また税務上の扱いにつきご教示ください。
A その商品の売買全体の結果として適正利益を生むのならばどちらも問題なく費用計上できます。ただし源泉徴収の手続きが必要です。現金の場合は支払額の3%の源泉徴収票を発行し、差し引いた現金と一緒に渡します。商品券の場合にも同様の源泉徴収義務があり、源泉徴収額と引き換えで渡すのが基本ですが、インセンティブという性格上そぐわないと考えるのであれば、御社が源泉分を更に負担する方法もあります。ただ源泉算出の際は負担する源泉分も加算した額から3%を算出します。この源泉分も先方の所得という考え方です。
Q ここ数か月、工場内でお化けが出るという噂が広がり、無視する訳にもいかないので僧侶にお払いを依頼するのですが、その費用は当然領収証も無く、どのように処理をすればよろしいでしょうか?
A 日本と違いまして、当地では支払先を特定する何かしらのドキュメントがありませんと、損金不算入費用にもできません。その様な依頼はお布施を通じ「タンブン(徳を積む)」行為とされますので、基本的に個人払いです。会社が負担するのであれば接待交際費で別件処理するしかありません。

2 赴任者が労働許可証を取得するまでの給与について
Q 私はすでに今月初めより現地に勤務しております。従って今月末には給与を受け取るべきなのですが、先日お伺いした際に労働許可証を取得するまでは給与を費用計上できないと聞きました。どの様な処理をすべきでしょうか?
A 確かに労働許可証申請は赴任後でないと行えない、しかしすぐには取得できないのが現実です。そこで、取得月度までの給与は仮払いで支出しておき、許可証取得後の給与にある程度の期間毎月分割・加算計上するのが通常の方法です。税務当局もこの事情は承知しており、給与が後に減額になっても問題にはされません。蛇足ですが、現地社員の給与額については「本人の同意が無ければ労働条件の改悪は認められない」という労働者保護法上の考え方があり、訴えられれば必ず労働者側の言い分を認める裁定となりますので、ご承知おきください。

3 固定資産と減価償却
Q 会社を立ち上げ、これから事務所備品や消耗品を購入するところですが、資産計上し減価償却しなければならない購入物の基準はどのようになるのでしょうか?
A 税務側の考える固定資産は、日本の様に価格の基準は無く「1年以上の耐用年数」に当たるものは全てであり、この通りの処理をすれば零細企業においても固定資産だらけとなって事務が煩雑化するばかりとなります。そこで多くの企業では任意の金額(数千バーツ)を定めこの価格以上の購入物については償却対象としています。もちろん金額だけではなく耐用年数も考慮します。