私が見た聞いた関わった、という範囲での話である。統計などは公共機関の公表するデータが多くあると思うので、ここでは触れない事とする。

昨年、軍部による政権掌握で政情は安定した。行き過ぎの感がある綱紀粛正は別にしても、兎も角経済界も安定期を迎えたと言えるだろう。この状況下ではとうぜんのことだろうが、再度日系企業による直接投資がこの国に集中している。ただし製造業は、特に大企業はすでに出尽くしており、小規模製造業および非製造業、例えばIT企業、商事会社、サービス業各種(特に目立つのが飲食)が殆どである。

タイ国投資委員会のIT系企業に対する優遇条件は手厚い

例えば外資100%、しかも小額資本(最低額100万B、現為替レートで370万円)での進出を認め、さらに外国人労働許可の条件も緩和されているため、個人企業を含めかなりの進出企業数である。

またこれまで、ローカル企業と競合するという理由から商事会社に対しては、ほぼ優遇措置の対象外であったのだが、これも条件付きで本年より施行されている新ルールにより独資での会社設立の枠が大幅に拡大された。直接投資を呼び込むための営業組織としての投資委員会が、製造業の進出が減少傾向である現在、他業種進出を奨励せざるを得ないという事情は理解しやすい。現実の奨励事業投資額において、その半額以上(ここ数年では70~80%)が日本からの投資なのである。

サービス業に関しては、代表的な飲食業だけではなく実に多種多様な業種が参入している。ビューティー・サロン、スポーツ・ジム、健康食品の輸入販売やネット販売、省エネ・コンサルタント、古典的業種である会計または法律コンサルタントなどが挙げられる。

投資委員会としても新潮流のビジネスを誘致し、「先進国並み」を目指した対応を心がけている様だ。例えば上記の「省エネ事業」も独立した奨励事業カテゴリーを設定しており、エネルギー省との連携で誘致を図っている。さらに映像制作も同様で、最近はリモコン・ヘリのドローンを使用した空中撮影の企業も現れた。

ただし省エネ事業については、弊社が手続きを行っている案件について、エネルギー省、投資員会双方があまり新事業のビジョンについて理解されていないと疑問を抱く様な対応に、少々イライラさせられている。この様な、お題目を掲げただけで受け入れ態勢ができていない状況はこれまでも経験しており、時流に乗った新カテゴリーに於いては、例えばコールセンターやリサイクル事業などで、かなり手間取らされたことがある。

しかしこの様な公務員様のユルさは、我々の様な手続き業務を生業とする者にとりメリットでもある。「彼らの思考や受け入れ方」を理解してしまえ逆にイニシアチブを握ることが容易なので、手間はかかっても結果的には何とか認可を取得できるという有り難い状況なのだ。要するに相手の土俵に乗っているという態度で接しながら軌道修正を行い、担当官の好みに合う様な申請資料を作成すれば、先方は受け入れざるを得ない、ということになる。「お役人様は神様です。私たち外国人はタイ国の為、タイ国民、タイ経済のために投資をさせていただき、一所懸命働かせていただきたいのです」な~んていう芝居が打てれば、これはもう一流のコンサルタントなのである。